大きくなりすぎた木を切るには剪定と伐採という方法がありますが、「剪定と伐採ってどう違うんだろう?」「自分の場合はどちらをすればいいんだろう?」と疑問がわきますよね。
剪定(せんてい)は「木の不要な枝を切る」ことで、伐採(ばっさい)は「木そのものを切り倒す」ことです。剪定か伐採どちらをすればいいか判断するには、まずあなたがその木を今後どうしていきたいのかをはっきりさせましょう。
剪定と伐採では作業後の結果が大きく違うので、間違えると費用が無駄になるだけでなく、木が枯れてしまって取り返しがつかないこともあるのです。
このコラムでは、以下の内容を解説します。
- 剪定と伐採の違いと後悔しない選び方
- 剪定や伐採の費用と費用を抑える方法
- 失敗しない剪定・伐採業者の選び方
このコラムを読めば大きくなりすぎた木によって起こる近隣トラブルや、手入れが大変などのストレスを最小限の費用で解決できます。
ただし、あなたが本当に望む結果を得るためには木の状態や周りの環境を確認し、検討する必要があります。その判断は素人では難しい場合もあるので、どうするべきなのかまずはプロに相談してみるのがおすすめです。
目次
剪定と伐採の違いは「枝を切る」か「根元から切り倒す」か
どちらも木を切る作業である剪定と伐採のもっとも大きな違いは、そのあとに木が生き続けるか死んでしまうかということです。
剪定は木の健康を保つために不要な枝を切って取り除くお手入れなので、木はそのまま生き続けます。対して伐採は木を処分するために幹を根元から切り倒す作業なので、木は死んでしまうのです。
ここではそれぞれの目的と作業内容の違い、どんなときにどちらを選択するべきなのか解説します。
木を生かしておきたいなら剪定
「邪魔ではあるが完全に処分してしまうほどではない」というときは、剪定をしましょう。
剪定で枝を切ることで枝の長さや量、全体のサイズを調整ができるからです。剪定では木に大きな負担がかからないように切る枝を選んだり切る量を調整したりするので、剪定で木が枯れてしまうことはありません。
例えば枝が敷地からはみ出して困っているならその枝だけを切ればいいですし、大きくなりすぎて手入れが大変なら幹を切り詰めて背を低くすることもできます。
大半の枝を切り落としてサイズを小さくする方法は伐採と混同されやすいですが、これは強剪定という剪定の一種です。作業後も木が生き続けるという点で、伐採とは結果が異なります。
木を生かしたままサイズを小さくしたいというときは、強剪定をしましょう。強剪定については生かしつつ小さくしたいなら「強剪定」という手もで詳しく解説します。
木を処分したいなら伐採
「木そのものが完全に不要なので処分してしまいたい」というときは、伐採をしましょう。
基本的に、伐採をされた木はもう生長することありません。伐採では幹を地面ぎりぎりの位置で切り倒すので、木は光合成ができなくなりそのまま枯れてしまうのです。
例えば木を撤去してそこに建物などを作りたい場合は、伐採をして残った切り株も抜き取ってしまえば、完全に更地になります。木を枯らしてしまうのが伐採と覚えておきましょう。
ただ、その場所を活用したいというわけではなく「とにかく邪魔な木をなんとかしたい」という場合は、ひとまず剪定をしておくのもおすすめです。剪定だけでも木のサイズを小さくすることはできますし、伐採よりも剪定のほうが費用は安く済みます。このあとの章では剪定で木を小さくする方法やそれぞれの費用について解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
生かしつつ小さくしたいなら「強剪定」という手も
強剪定とは、通常よりも多くの枝を切って全体のサイズを小さくする剪定方法です。強剪定をして邪魔な木を小さくすれば枝が伸びすぎるなどのトラブルを避けられ、しかも伐採とは違って木を枯らさずに済みます。
木の大部分を切ってしまう点は伐採に似ていますが、強剪定では木が枯れないよう配慮した切り方をします。若い小さな枝や葉をわずかに残しておくことで、木は生長を続けられるのです。
ただし、強剪定は木にとって負担の大きい作業なので、失敗すると枯れてしまうリスクがあります。強剪定で失敗しないために覚えておくべき2つのポイントを解説します。
強剪定に適した時期
木への負担をできるだけ軽減するためには、木に十分な体力がある時期を狙って剪定をすることが重要です。木には生育のサイクルがあり、1年のうちで体力に余裕のあるときもあれば疲れ切っているときもあります。疲れ切っているときに体を切られると、木は弱って枯れてしまうおそれがあるのです。
強剪定が可能な時期は木の種類によって違い、大まかに以下のように分けられます。
樹種ごとの強剪定に適した時期 | ||
---|---|---|
木の種類 | 強剪定時期 | おもな樹木 |
常緑樹 | 3月~4月ごろ | キンモクセイ・サザンカ・ゲッケイジュ マツ・カイヅカイブキ・ゴールドクレスト |
落葉樹 | 12月~2月ごろ | モミジ・ウメ・シャラ イチョウ・メタセコイア・カラマツ |
どの種類でも、基本的に真夏の強剪定は避けます。夏は木が生長するために激しく体力を消耗する時期なので、剪定で弱ってしまう危険性が高いからです。
常緑樹は、年中緑の葉を付けている種類の樹木です。常に光合成が必要で、日照時間が短い冬に強剪定をすると葉の量が減ったことで十分な光合成ができなくなって弱ってしまいます。そのため、暖かくなり始めた春の時期が常緑樹の強剪定に最適です。
落葉樹は、冬になると葉が落ちる種類の樹木です。落葉後には休眠状態になって先端の枝葉に栄養を送らなくなるので、大きく枝を切っても影響が少なく済みます。そのため、落葉樹は冬場の強剪定が最適です。
強剪定ができる樹木
枝を切られたあとに新しい芽を吹く力の強い木であれば、太い枝をほとんど切り落として幹だけの状態にすることも可能です。
ただし、強剪定で小さくできる程度は樹木によって限度があります。強い剪定に耐えられる強い木もあれば、生命力が弱い木もあるからです。生命力の弱い木の枝を同じように切ると、ダメージに耐えられずに枯れてしまうおそれがあるのです。
もともと生育旺盛で萌芽力(芽を吹く力)の強い樹木は強い剪定にも耐えられるので、一気に小さくする強剪定ができる可能性があります。
- キンモクセイ
- サザンカ
- ゲッケイジュ
- シマトネリコ
- ウバメガシ
- シラカシ
- ツバキ
- サツキ
- イヌマキ
- ウメ
- サルスベリ
- イチョウ
生命力の弱い木でも、ひと回り小さくするような剪定を数年かけて先端の枝を切り詰めていけば小さくすることは可能です。また、丈夫な木であっても強剪定の加減やタイミングを誤れば枯れてしまうおそれはあります。
いずれにしても適切な時期や方法は樹木ごとに異なりますので、素人の判断でおこなうのは危険です。強剪定はプロに任せるのがおすすめです。樹木の特性を熟知しているプロであれば、それぞれの樹木に適した時期と方法で安全な剪定をおこなってくれます。
当サイト【お庭110番】では、強剪定が可能な提携業者をご紹介できます。担当エリアのスタッフが樹木や状況に合わせた最適な施工方法をご提案しますので、ぜひ一度ご相談ください。
剪定は伐採より費用が安い
植木屋や造園業者に剪定を依頼した場合と伐採を依頼した場合とで費用を比較すると、剪定のほうが安く済むことが多いです。伐採に比べて剪定は作業量が少ないだけでなく、作業員の危険度が少ないからです。
当サイト【お庭110番】にご依頼いただいた実際の施工料金を集計して庭木1本あたりの単価を算出したところ、以下のように同じ大きさの木でも伐採よりも剪定のほうが安価になっています。
伐採と剪定の料金の違い(1本あたり) | ||
---|---|---|
木の高さ | 伐採料金 | 剪定料金 |
低木(3m未満) | 9,847円 | 6,304円 |
中木(3~5m程度) | 18,327円 | 10,287円 |
高木(5m以上) | 31,514円 | 14,884円 |
※集計サイト:お庭110番
※集計期間:2020年1月1日~12月31日
※集計対象の問い合わせ数:418件
伐採はチェーンソーなどの危険な工具を使用したり、木を倒す瞬間に人や建物を巻き込まないよう入念な計算をしたりといった高度な技術を必要とするため、技術料が高いのです。
また、上の表を見ると低木の料金の差は3千円程度なのに対して、高木の料金には1万6千円近くの差があります。これは木が大きくなると伐採の危険度や難易度が上がるためです。そのため大きな木であるほど、伐採よりも剪定のほうが費用は割安になります。
どうしても木そのものを撤去したいという場合以外は、剪定を選ぶことをおすすめします。
剪定や伐採の費用は抑えられる
剪定にしても伐採にしても、出費はなるべく抑えたいですよね。剪定や伐採の費用を抑えるには、自分で剪定や伐採をする、料金の安い業者を選ぶといった方法があります。それぞれご紹介しますので、節約したい方はぜひ実践してみてください。
自分で剪定や伐採をする
強剪定や伐採を自分でできれば、業者を利用するよりも安く済むことが多いです。作業に最低限必要な道具をひと通り買いそろえた場合の費用を計算すると、以下のように業者に頼む場合より最低でも千円程度は安価に済みます。
DIY伐採の費用 | DIY強剪定の費用 | ||
---|---|---|---|
剪定ノコギリ (刃渡り30cm以上) |
3,748円 | 剪定ノコギリ (刃渡り30cm未満) |
1,780円 |
剪定バサミ | 1,863円 | ||
ラバー軍手 | 656円 | ラバー軍手 | 656円 |
ヘルメット | 2,664円 | 癒合剤 | 1,137円 |
合計 | 7,068円 | 合計 | 5,436円 |
※金額は弊社がランダムに選んだ各10製品の平均価格です。
業者の最低料金の相場 | |
---|---|
伐採 | 剪定 |
9,847円 | 6,304円 |
ただし、伐採では倒れてきた木でケガをする危険がありますし、剪定で切り方を誤って木を枯らしてしまうおそれがあります。失敗しないよう、手順を確認して安全におこないましょう。
DIY強剪定の方法
剪定をするときには、細めの枝を切るための剪定バサミ、太い枝を切るための剪定ノコギリ、傷口を保護する薬剤の癒合剤(ゆごうざい)を用意しましょう。
- 木を切り詰めるサイズをイメージする。
- 理想の高さの位置で、一番太い幹を剪定ノコギリで切断する。
- 伸びすぎた枝や混み合っている枝を根元から剪定バサミや剪定ノコギリで切断する。
- 太い枝の切断面に癒合剤を塗る。
常緑樹の場合は葉が少し残るように枝を切っていくことが大切です。葉が全くなくなると光合成ができなくなり、枯れてしまうリスクが高まります。
また、太い枝を剪定したときの切り口をそのままにしておくと、そこから雑菌が入るなどして木が病気になったり枯れこんだりすることがあります。大きな切り口には癒合剤を塗って保護しましょう。
DIY伐採の方法
伐採で木を倒すときには、人や物が下敷きになると大変危険です。自分で安全に伐採ができる木の大きさには限度があります。以下の条件にひとつでもあてはまらない木を伐採したい場合は、無理をせず業者に依頼しましょう。
- 高さが3メートル以下
- 幹の太さが直径20センチメートル以下
- 木が倒れても問題ないスペースと安全な避難経路を確保できる
また、チェーンソーは木を楽に切れて便利ですが、素人が扱うのは危険なのでおすすめしません。手を滑らせるなどしてコントロールを失うと大ケガや死亡事故のおそれもあるからです。伐採の際には、幹の直径に合わせて大きめの剪定ノコギリを使うのが安全です。ケガ防止のためにヘルメットも着用しましょう。
- 作業に邪魔な枝や倒れるときに引っかかりそうな枝がある場合は切り落としておく。
- 木を切り倒す方向を決める。
- 木がどの方向に倒れてもよいよう周りにスペースを確保する
- 作業者の避難経路を確保する。
- 幹を倒す方向から剪定ノコギリで三角に切り口(受け口)を作る。
- 幹を倒す方向の反対側から剪定ノコギリで切って切り口(追い口)を作る。
- 周囲の安全を確認し、決めた方向に反対側から木を押して倒す。
- 倒れ始めたら速やかに遠くへ避難する。
相見積りで比較検討する
植木屋や造園業者に剪定や伐採を依頼する場合でも、複数の業者から見積りを取る相見積りで比較検討することで、費用は抑えられます。料金設定は業者によって違うので、複数の業者を比較すればより料金の安い業者を選択できるのです。
相見積りで最善の業者を見極めるためのポイントを6つご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
- 見積り無料の業者を選ぶ
- 見積り依頼は3社に厳選する
- 相見積だと知らせる
- 条件をそろえる
- 見積書の詳細を確認する
- わからないことは質問する
見積り無料の業者を選ぶ
業者の公式サイトなどに「見積り無料」「キャンセル料なし」などと書かれている業者を選びましょう。見積りの作成だけで料金が発生する業者や、見積り後に依頼をしないとキャンセル料が発生する業者を選ぶと費用がかさんでしまいます。
また、条件によっては料金が発生するという場合もありますので、見積りを依頼する際に確認しておきましょう。
見積り依頼は3社に厳選する
相見積りで比較する業者は、3社に絞り込みましょう。たくさんの業者を見ればより正確な判断ができるかもしれませんが、あまりに多いと対応が大変ですし、整理がしにくくなります。業者の公式サイトなどで料金設定やサービス内容を見て、第3候補まで挙げて検討しましょう。
相見積りだと知らせる
見積りを依頼するそれぞれの業者には、ほかの業者にも見積りを依頼していると事前に知らせておきましょう。対抗意識からよい条件を提示してくれる可能性がありますし、キャンセルする際のトラブルを防止する意味もあります。
条件をそろえる
すべての業者に、同じ条件で見積りを作成してもらいましょう。業者ごとに条件を変えると正確な比較ができません。予算や施工内容など、これはゆずれないという要望を整理しておくことが大切です。
見積書の詳細を確認する
見積書を提示してもらったら、合計金額だけでなく料金の内訳や作業内容も詳細に書かれているか確認しましょう。なににかかる費用なのか、なぜその作業が必要なのかといった詳細が不明瞭だと、実際に作業が始まってから追加費用などが発生する要因になります。
わからないことは質問する
見積書や施工内容に不明な点があれば、遠慮なく質問しましょう。施主の疑問や不安を解消できるよう誠実に答えてくれる業者は、実際の施工も丁寧におこなってくれる可能性が高いです。
お得な剪定・伐採業者をもっと簡単に見つけたいならお庭110番へ
できるだけ料金が安くて施工が丁寧な業者に頼みたいけど、「探すのが大変」「すぐに対処しないと困る」ということもありますよね。そんなときには、当サイト【お庭110番】のサービスが便利です。
お庭110番では剪定にも伐採にも対応できる多くの業者と提携を結んでおり、ご要望に合わせて最適な業者をすぐにご紹介するサービスをおこなっております。24時間365日対応の無料電話相談窓口にお問い合わせいただけば対象エリアの担当スタッフがおうかがいし、見積りをご提案いたします。あなたの手間はお電話でご要望を話していただくだけです。
「剪定か伐採どちらにするか迷っている」「料金を見て決めたい」といったご相談も大歓迎です。見積りと現地調査は原則無料で対応(※)しておりますので、相見積りをしたいという場合でも安心してご利用いただけます。ぜひお気軽にお問い合わせください。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様の了承をいただいたうえで、調査費用等をいただく場合がございます。
【参考文献】
剪定 「コツ」の科学 いつどこで切ったらよいかがわかる
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000189992
大人の園芸ブックス庭木の剪定コツのコツ
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784093052412
【参考サイト】
伐採の意味とは?剪定との違いについて | 建機レンタルのヨシカワ(最終閲覧日2021年10月13日)
https://www.ydec.co.jp/magazine/magazine_forestry/1384
庭木 | 伝統的日本庭園の形(最終閲覧日2021年10月13日)
http://rockstones.g2.xrea.com/element5.html
庭木は自分で伐採できる?必要な準備から方法まで詳しく解説! | 工具男子新聞(最終閲覧日2021年10月13日)
https://electrictoolboy.com/media/39792/
Amazon(最終閲覧日2021年10月13日)
剣スコップ(https://www.amazon.co.jp/%E5%89%A3%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%97/s?k=%E5%89%A3%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%97 )
剪定ノコギリ(https://www.amazon.co.jp/s?k=%E5%89%AA%E5%AE%9A%E3%83%8E%E3%82%B3%E3%82%AE%E3%83%AA)
ラバー軍手(https://www.amazon.co.jp/%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%BC%E8%BB%8D%E6%89%8B/s?k=%E3%83%A9%E3%83%90%E3%83%BC%E8%BB%8D%E6%89%8B )
長靴(https://www.amazon.co.jp/%E9%95%B7%E9%9D%B4/s?k=%E9%95%B7%E9%9D%B4 )
剪定バサミ(https://www.amazon.co.jp/s?k=%E5%89%AA%E5%AE%9A%E3%83%90%E3%82%B5%E3%83%9F )
癒合剤(https://www.amazon.co.jp/%E7%99%92%E5%90%88%E5%89%A4/s?k=%E7%99%92%E5%90%88%E5%89%A4 )
ヘルメット 作業用(https://www.amazon.co.jp/s?k=%E3%83%98%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%83%E3%83%88+%E4%BD%9C%E6%A5%AD%E7%94%A8 )